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2023.03.13
自動車関連分野

ホットメルトとは

ホットメルトとは?

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

以前、接着材について解説しますというコラムで接着剤の歴史や種類をご紹介しましたが、今回は接着剤の一つでもあり、弊社の主力商材でもあるホットメルト”についてご紹介します。
業界問わず、モノづくりに携わったことがある方は一度は聞いたことがあるかもしれないホットメルトという接着剤。
しかし、携わっている方からも「ホットメルトってどんな種類があるの?」「どうやって使うの?」といったお声をお聞きすることも。
そもそも「ホットメルトって何?」という方もいらっしゃるかと思います。

今回はホットメルトとは何なのか、ホットメルトそのものから使い方までみなさんに知って頂ければと思います。

・ホットメルトとは

・ホットメルトの種類

・用途

・塗布方法

・まとめ

 

・ホットメルトとは

接着剤と聞いてイメージを持てる方は多いと思いますが、ホットメルトと聞いて具体的にイメージできる方は少ないかもしれません。
ホットメルトとは接着剤の一種で、その名の通り、熱(ホット)をかけ溶かして(メルト)使用する接着剤のことです。
多くは上記画像のような固形状になっており、固形状の接着剤に熱をかけ液体状にしてから使用します。

紀元前の石器時代、黒曜石を矢じり、槍先に固定するのにアスファルトが使用されていました。アスファルトを熱で溶解して使用したと考えられており、これがホットメルトの原型と言われています。
時が経ち、1950年代にアメリカでブレンド技術が発展し、製靴用接着剤やミルクカートン容器のコーティング剤が市場で使用され始めました。
以降、子供用紙おむつや製本等使用される幅が広がり、現在に至ります。

世の中には多くの接着剤が存在しますがホットメルト以外の接着剤として、ゴム系や塩化ビニール系の素材を有機溶剤で溶解した溶剤系接着剤、水を溶媒として作られた水系接着剤があげられます。
身近なものですと工作で使う水糊やスティックのりも接着剤になります。
工業用として使用される場合は溶剤系接着剤や水系接着剤、ホットメルトが多いですがホットメルトを使用するメリットとして、溶剤・水系接着剤と比較して不燃性かつ無溶剤のため環境にやさしい、冷めると硬化するため乾燥工程がなく作業効率が上がるといって点が挙げられます。
水系接着剤は水を溶媒としているため環境や人体への害が少ないとされていますが乾燥に時間がかかることがネックとなります。接着剤は溶媒が揮発し樹脂分のみとなった時に接着力を発揮するため、乾燥時間が短いほど効率がいいと言えるからです。
また、溶剤系接着剤は有機溶剤を使用しているため揮発は早く、接着力を発揮するまで時間はかかりませんが環境及び人体へ悪影響を及ぼす可能性があります。
これらと比べホットメルトは無溶剤かつ冷えれば接着するので作業性や安全性において使い勝手のいい接着剤と言えます。
使い勝手の良さもあり現在では幅広い業界で使用されています。

・ホットメルトの種類

続いて主なホットメルトの種類について、特徴を踏まえご紹介します。

EVA(エチレン酢酸ビニル共重合)系
幅広い粘度域をもつことが特徴的で包装や製本に多く使用されます。
ホットメルトの種類のなかでも比較的安価な種類です。

オレフィン系
PPやPEなど、通常の工業用接着剤では接着しにくい材料と物性が近しいため、これらの接着が比較的しやすい分類となります。また、軟化点が高く熱安定性があり、自動車業界で多く使用されます。

合成ゴム系
両面テープの様な粘着性があり、塗布後の接着可能時間が長いのが特徴です。
他のホットメルトと異なり、冷却硬化した後もベタベタとしたタック性が残るため貼り直しができるのも特徴です。

ポリアミド系
耐熱性が高く、絶縁性や耐薬品性に優れています。絶縁性を活かし電気部品の封止用途として使用されます。

PUR(反応型)
他のホットメルトと同様に溶かした状態で塗布し冷却硬化させますが、空気中の水分と架橋反応することで他のホットメルトよりも高い接着強度と耐久性が得られます。

この他にも多くの種類のホットメルトがございます。
私たちはお客様より接着したい基材やご使用条件をヒアリングし上記材質などから最適なものを選定しています。
「こんなものを接着させたい」「こんな条件でも接着させられる接着剤はあるのか」など接着剤についてお困りごと、不明点ございましたらどんなお悩みでもご相談ください。

・用途

前述のようにホットメルトは幅広い業界で使用されておりますが、今回は我々が日々活動する自動車業界にスポットを当ててご紹介します。
併せて我々の分野を紹介する“自動車関連分野”のページもご覧いただければと思います。

自動車は使用する人が快適に乗れるよう目に見えないところで多くの工夫がされています。
例えば、走行中に車外から雑音が入ってきますが、雑音を吸収する吸音材といったものが天井やドア、カーペット裏と、多くの箇所に貼り付けられています。
エンジンルームにも騒音を車室空間に届かせないようにするダッシュサイレンサーと呼ばれる部品がありますが、この部品にも吸音材が貼られています。
これらのおかげで車室空間が静かな空間となっているのですが、多くの吸音材はホットメルトを使用して各パーツに貼り付けているのです。
しかし、どのパーツも同じホットメルトで貼れるのかと言うとそうではありません。
例えば、車外からの熱が比較的かかりやすい天井では軟化する温度が高いホットメルトを使用し、多少の熱がかかっても吸音材が剥がれないようにしています。
また、高級車の腰かけるシートには不織布やフェルトを張り付けています。
シートは発泡ウレタンで成形されていますが後から不織布やフェルトを貼り付けることで座った際のクッション性が向上し、より長時間腰をかけても快適さが続く様な工夫がされています。
シートは高温がかからない部品であること、ウレタンと不織布どちらも接着剤が浸透しやすい素材であることから接着剤そのものに高い性能が求められません。
このような場合は比較的安価なホットメルトを用いて接着されます。

性能の良い接着剤ばかり使っていると材料費が高騰し、自動車の価格が上がっていき消費者が購入しにくくなってしまいます。
より快適に、より安価となるように1台の自動車でも用途、貼り合わせる素材などによって使用するホットメルトが異なってくるのです。

・塗布方法

ホットメルトはご説明したように熱をかけ溶かして使用する接着剤ですが形状によって溶かし方が異なります。
主な形状としては以下の形状があります。

・ペレット ・ブロック ・スティック 

専用設備で加熱し溶かしてから接着基材に塗布    
溶解、塗布する設備が必要となり、上記形状でも使用する設備が異なります。
例えばペレット及びブロックはアプリケーターと呼ばれる釜(タンク)がついた設備に投入し溶かしますが、スティックはグルーガンと呼ばれる注射器のような設備を用います。
アプリケーターはタンク容量によって一度に数kg~数十kg㎏のホットメルトを溶かすことができ、本体から伸びているホースから一本線での塗布やスパイラルと言われる輪っか状での広い範囲を塗布する等、様々な方法での塗布が可能です。連続塗布や広範囲の塗布ができるため量産性に長けています。
一方でスティックを使用するグルーガンはアプリケーターでは、難しい細かな個所への塗布やアプリケーターで塗布できていなかった箇所を補修する用途で使用されることが多いです。
アプリケーターと異なり操作性が求められる場面で活躍します。

・まとめ

今回はホットメルトそのものについて、種類、用途についてご紹介しましたがあくまでも一例となります。
貼り合わせる基材や要求性能によってはご紹介した方法や種類で貼り合わせることができない場合もあるかと思います。
実際に使用してみると思っている以上に難しいと感じるかもしれません。
我々は「どんなホットメルトを使えばいいの?」「うまく接着できない」といったホットメルトについてのお困りごとへの提案や設備のご提案、使い方のレクチャーも含めたトータル提案をしております。
些細なことでも構いませんので、ご質問やご依頼がございましたら一度内容をお聞かせください。

お問い合わせ頂く際は「お問い合わせフォーム」またはお電話にて承っております。
我々がお客様の立場になり、全力でお答え致します。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

営業第1グループ
担当:森、香田
052-201-2471