平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今回のコラムは、営業第2グループが担当させて頂きます。
以前のコラム(→2月20日のコラム)では、全自動製糊装置GBR-Aの歴史・特性についてご紹介させて頂きました。
今回のコラムから2回に分けて、全自動製糊装置GBR-Aで作ることが出来る段ボール貼合用糊に使用する各種原材料の特性、中川商会として提供できる付加価値についてご紹介します。
「段ボール貼合用糊は、どの様な材料を使用して製糊するの?」、「段ボール貼合用糊って他の接着剤と何が違うの?」、「自社製品・取扱原紙に合った糊を製糊するにはどうすればいいの?」など様々な疑問が生まれてくるかと思います。
今回は、段ボール貼合用糊に必要な材料の特性について前編として記載します。
中川商会として提供できる付加価値については、後編として別のコラムで詳しくご説明します。
目次
1.コーンスターチの特性について
2.苛性ソーダ・硼砂の役割について
3.中川商会としてご提供できる付加価値について
4.まとめ
1.コーンスターチの特性について
段ボール貼合用糊を作るにあたって、必要な材料は4つあります。
それは澱粉・水・苛性ソーダ・ホウ素化合物です。
その中でも、糊の原料の大半を占めている澱粉についてご説明させて頂きます。
世の中には澱粉が含まれているものが多く存在しており、例を挙げるとトウモロコシ、小麦、お米、ジャガイモ、タピオカ(キャッサバ澱粉)・エンドウがあります。
その中で段ボール業界では主にトウモロコシ澱粉(※以後、コーンスターチと表記)を使用されているお客様がほとんどです。
その理由として、世界的に収穫量が多く見込め安定供給が可能であること、ほかの穀物と比較し、安価に購入する事が可能である為です。
(※価格イメージ:タピオカスターチ はコーンスターチの約1.5倍)
段ボール製造会社では、コーンスターチを水と混ぜて使用します。しかしこれだけでは糊になりません。コーンスターチなどの澱粉と水を混ぜたものを糊にするために下記方法をとる必要があります。
①澱粉と水に熱を加える。
②苛性ソーダを投入する。
コーンスターチの特性として、糊化温度(熱を加えて澱粉が糊になり始めるまでの温度)の目安が約70℃であると言われております。コーンスターチを70℃以上のお湯に投入し攪拌することで糊になります。段ボールを製造する際、ライナー紙と中芯(段ボールシートのなみなみの部分)を貼り合わせます。しかし、貼り合わせる際に糊の浸透度合いが悪いと、必要な接着強度が無くなる為に貼合が上手くいきません。
では、段ボール貼合用糊として使用する為にはどのような特性を持たせる必要があるのでしょうか。次の章では、段ボールシート貼合用糊に特性を持たせるためには欠くことができない苛性ソーダと硼砂についてご説明させていただきます。
2.苛性ソーダ・硼砂の役割について
段ボールシート貼合用糊の特徴の1つとして熱を加えることで瞬間接着が可能な事が挙げられます。
段ボールシートの生産は高速マシンの場合、1分当たり最高速450mで生産されています。高速で生産されるため、瞬間接着が必要になります。そこで、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、ホウ素化合物(ホウ砂・ホウ酸)を使用して、「接着強度を得ることが出来ない」、「紙に糊が浸透しづらい」という問題を解消させます。
まず、苛性ソーダの役割は2つあります。
①澱粉の糊化温度を低くする。
②紙の繊維を濡れやすくし、糊を浸透しやすくする。
澱粉と水に苛性ソーダを投入すると化学反応により、糊になるまでの温度が低くなります。(結果的に70℃よりも手前の時点で糊にすることができます。)
糊化温度が低いことで接着時の熱量を削減することができ、エネルギーコストを低減させることができます。
また、苛性ソーダは強アルカリ性の薬品であり、紙の繊維をふくらませて糊が紙に浸透することでアンカー効果(糊が被着体(紙)表面の隙間に入り込んで、そこで固化することでフックの返しが食い込むような効果が発生すること)を高めます。
次にホウ素化合物の役割は2つあります。
①糊の粘度をはやく上げる。
②糊の膜強度を強くする。
ホウ素化合物を投入していない糊は、熱を加えても膜をはることなくクリーム状のままで接着する事が出来ません。また、粘度が低い状態(糊の流動性が高い状態)では
糊自体の強度が生まれません。ホウ素化合物を投入する事で熱を加えた際にゲル状態になります。
(写真:クリーム状の糊とグミ状の糊の違い)
上記の通り、段ボール貼合用糊をつくるにはお湯・コーンスターチ・糊の浸透性を上げて接着強度を持たせるための苛性ソーダ・糊をグミ状態にするホウ素化合物が必要になります。
弊社では長年の経験・ノウハウを活かし、お客様の生産状況に合わせた段ボール貼合用糊の作り方をご提案しております。
貼り合わせしている紙の構成・機械で加温できる温度・実際の段ボールシートなど様々な状況を確認し、糊に対して水分の比率、コーンスターチ・苛性ソーダ・ホウ素化合物の投入割合を目的に合わせて処方します。「糊の使用量を減らしたい」「最低限の糊の塗布量で必要な強度を出したい」「貼り合わせる際の速度を上げたい」などお客様のお声に合わせた糊の製糊をご提案します。この点の詳細につきましては、本コラム後編として改めて記載させて頂きます。
今回は段ボール貼合用糊について記載しました。お客様の生産環境の変化・段ボールシート生産時に起こりうる問題点の解決および生産性向上に向けての糊の改善などに対して、中川商会 営業第2グループは最適な方法をご提案します。ご興味のある方は、下記連絡先までご連絡お待ちしております。
お問い合わせ先:営業第2グループ 担当:見玉、浅井俊、浅井岳
TEL:052-201-2471
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今回も最後までお読み頂き、誠に有難う御座いました。