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2023.09.20
自動車関連分野

ホットメルトを溶解し塗布する機械                 【アプリケーター】のご紹介

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

これまでのコラムでホットメルトをはじめとする接着剤や超音波溶着機など、弊社が得意とする接着・接合の分野をご紹介してきましたが今回はホットメルトを使用する際に用いる設備をご紹介します。
以前、ホットメルトとはというコラム内で、ホットメルトを使用するために必要な設備としてアプリケーターという設備について触れました。
今回のコラムではホットメルトを塗布する設備であるアプリケーターのご紹介をはじめ、取り扱う際によくあるご質問やトラブルについてご紹介します。

弊社では40年以上にわたり自動車業界に携わる中で長らくホットメルトを扱ってきました。
長年取り扱う中でお客様にモノづくりに必要な物をトータル提案するべくアプリケーターの取り扱いも開始しました。

コラムの後半では、あらかじめ知っておいて頂きたい注意点、よくあるご質問やトラブルの内容をまとめています。
今後、アプリケーターの導入を検討している方に今回のコラムが少しでも参考になればと思います。
皆さんに合ったアプリケーターをご提案させて頂きますのでご覧いただきお気軽にお問合せ頂ければと思います。

・目次

・アプリケーターとは

・種類と仕様

・取り扱い時の注意点

・よくあるご質問(トラブル)

・まとめ

 

・アプリケーターとは

アプリケーターとはホットメルトを使用する際に必要となる設備のことで“ホットメルトアプリケーター”、“アプリケーターシステム”とも呼ばれます。
国内外あわせていくつかのアプリケーターメーカーがありますが各メーカーとも自動車業界で使用される仕様はほぼ同じです。
大きく分けるとタンク・ホース・ガンの3つの構成となっており、塗布する仕組みは植物に水やりをする際に使用する蛇口に繋ぐホースをイメージしてもらえば近いかと思います。
水やりは蛇口にホースを繋ぐと中を水が伝い、ガンのトリガーをひくと水が出てきます。
アプリケーターも同様で本体にあるタンクの中で熱をかけられ溶解したホットメルトがポンプで圧送されホースを伝い、ガンヘッドから塗布する設備となります。
水やりと同じようにガンヘッドからホットメルトが吐出されるためガンを操作し塗布します。

上記内容は自身でトリガーをひき、塗布する方法となりますがガンの仕様を変えることで自動塗布にすることもできます。
ハンドガンにはトリガーではなくボタンを押し塗布する仕様もありますが、ボタンを一度押すと一定量塗布される仕様にすることができたり、トリガーを引くときと同様に押している間だけ塗布する仕様もできます。また、設備などに組み合わせることで決められた時間、場所を塗布する仕様にすることもできます。
人手不足で省人化が進んでいる世の中で”自動化”というワードをお聞きすることも増えてきました。
人が塗布する仕様、自動で塗布する仕様をお選びいただけますのでご検討内容にあわせご提案させていただきます。

自動車業界では環境に配慮し扱いやすい接着剤であるホットメルトを多く使用する傾向にありますが、塗布する仕様や求められる条件が多くあります。

事例を交え仕様の一部をご紹介します。

 

・種類と仕様

タンク容量とポンプについて

営業第1グループとして自動車業界のお客様にご相談・ご購入頂くタンク容量は2㎏程の小容量から400㎏程の大容量まであり、幅広い容量のタンクが検討されています。
容量選定は各お客様のご使用条件によって異なりますが塗布面積が広いかつ、一度の工程で多く塗布する場合は大容量のタンクをお選び頂くことが多くなります。
例えば、自動車は車室空間へ入ってくる音を少なくするために様々なところに吸音材と呼ばれるものが貼られています。
天井にも貼られていますが天井は面積が大きいので吸音材も大きくなります。
この様に大きな物を貼り合わせる場合は一度に多くのホットメルトを使用しますのでタンク容量が大きいものが選ばれます。
反対にドアの中の吸音材や隙間を埋める為に貼られるフェルトは小さいことが多いですがこの様な場合は容量が必要とされないため小さいものが選ばれることがあります。

しかし、一製品への塗布量が多くても少量生産で塗布数が少なければ大容量である必要がありませんし、逆に塗布量が少なくても大量生産で塗布数が多ければ小容量では足りなくなってしまいますので時間当たりでの塗布量で容量を選定する必要があります。
また、タンク容量と併せてホットメルトをホースやガンに送る能力をになうポンプの仕様も重要になってきます。
ポンプにはギアポンプとピストンポンプの2つがあり、ギアポンプは一定量を安定的に送ることができ粘度の高いホットメルトを使用する際に適しています。
一方でピストンポンプは一定量を高速で送ることができるので連続生産に長けており、低粘度のホットメルトを得意とします。
使用するホットメルトに合わせたポンプを選定しないと容量が十分にあってもうまく塗布することができなくなってしまいます。

この様に塗布量、塗布数、使用するホットメルトによって仕様がかわってきますので使用環境、使用材料、使用量等をお聞きした上で容量やポンプを選定できればと思います。

ノズルの種類について


吐出されるノズルの仕様をかえることでスパイラル塗布(輪っか状の塗布)、点塗布(ドット)、線塗布(ビード塗布)、といった多くの塗布方法が出来ます。
メーカーによってはスパイラルで塗布する際はホースとタンクも専用のものに変える必要がありますのでどのように塗布をしたいのかという点も踏まえて選定します。
自動車業界では線塗布やスパイラル塗布が一般的な方法として用いられていますが塗布方法を変えることでより効率的に塗布ができる場合もありますので新規工程や工程改善をご検討の際は一度ご相談ください。

 

・取り扱い時の注意点

アプリケーターを取り扱う際に注意していただきたい点がいくつかありますのでご紹介します。

注意点1つ目は高温の状態で使用するという点です。
ホットメルトの軟化点は約120~200℃となりますのでアプリケーターで同等以上の熱をかけることになります。
本体やホースといった大部分は断熱材やカバーでおおわれていますので軽く触れた程度では火傷までなりませんが、吐出するノズルやホットメルトを溶かすためのタンク内は前述したように約120~200℃の熱がかかっており高温となっています。
初めて使用する際は事前にどこの部分が熱くなるのかを確認し、直接手で触れないようにしてください。
作業中に誤って手に塗布してしまった際にも火傷から守ってくれますので作業中は必ず軍手や手袋を着用してください。
電源を落としてもしばらく高温状態が続きますので冷めるまでは高温箇所に触れないようにしてください。

2点目は本体重量が重たい点です。
5㎏タンクでも約40㎏の重量がありますので成人男性ひとりで持ち上げるのがやっとです。
ホットメルトがタンクに入っているとより重たい物となりますので、仮に持ち上げられてもそのまま移動することは危険です。
必ず複数人で持ち上げ、台車に乗せて移動させてください。
使用中もバランスを崩して倒れた時に怪我や火傷をする可能性がありますので安定したできるだけ低い場所に設置してお使いください。

3点目は200Vの電源を使用する点です。
皆さんが私生活で使用するコンセントとは異なり、200Vという高圧電流を使用してアプリケーターを動かします。
工場ではそれぞれのルールが決められているかと思いますのでルールに従い電源ケーブルを接続してください。
使用中に電源ケーブルを抜くことは感電等の危険もありますので本体の電源を落としてから抜いてください。

 

・よくあるご質問(トラブル)

これまで多くのお取引様に御購入頂いておりますがトラブルのご連絡を頂くことがあります。
多くお問い合わせ頂く内容をご紹介しますので、突然使用できなくなるといった緊急事態を避けられるようにご覧頂けますと幸いです。

・温度が上がらない

電源ケーブルは繋いでいるのに本体の温度が上がらない場合、断線や漏電の可能性があります。
また、本体は上がっているがホースやガンの温度が上がらない場合は断線の他に接続ケーブルをしっかりと取り付けられていない場合もありますので確認してみてください。
ホースの温度を調整する配線はホースの周りにめぐらされており、断熱材でカバーされていることが一般的です。
引きずったり折れ曲がるような姿で保管すると断線に繋がる可能性がありますので折れ曲がらず輪を作るように保管し、持ち上げて運んでください。
漏電している場合は急に電源が落ちたり、焦げ臭いニオイが発生する場合もありますのでいつもと比べ違和感がある際は使用を中止し購入メーカーへ連絡してください。
老朽化した建屋での使用(雨漏りしている)やほこりが多い環境で使用すると漏電の可能性が高くなります。
使用環境に応じてほこりを払うなどの日々のメンテナンスを実施してください。

・ホットメルトが出てこない

「タンクの中ではホットメルトが溶けているのにトリガーを引いても出てこない」と言ったお声もよくお聞きします。
この様な場合の多くは炭化物が中で詰まっていて出てこないケースが多いです。
炭化物とはいわゆるホットメルトが焦げたもののことです。
熱をかけないと使用できないホットメルトですが熱をかけすぎたり、長時間熱がかかっていると黒い焦げになります。
その焦げが細い吐出路に詰まることでホットメルトがせき止められ出てこなくなります。
つまりを防ぐには定期的な洗浄や本体についているフィルターを交換することが効果的です。
特にフィルターは1年に1度は交換するか汚れを落としてあげるようにしてください。

トラブルは突然やってきますので日々のメンテナンスはしっかりと行うようにしてください。
目安として1年半~2年に一度はメーカーでオーバーホールを行うことをお勧めします。
メーカー不在時で、早急に訪問できる距離の場合は弊社で引き上げメーカーへ持ち込むといった対応も行いますのでお気軽にお声がけください。

・まとめ

今回はホットメルトを塗布する設備の中で最もメジャーなアプリケーターをご紹介しましたがホットメルトによってはグルーガンやロールコーターといった設備を使用することがあります。
弊社では様々な場面でトータル提案するためにグルーガンやロールコーターも取り扱っております。
より効率的に、より魅力的なご提案をするために使用環境を把握し共に課題に取り組んでいきたいと思います。
40年以上自動車業界に携わってきた経験をもとに我々がお客様の課題解決に向けて、全力でお答えいたします。
お問合せいただく際は「お問合せフォーム」またはお電話にて承っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。

営業第1グループ 香田

TEL:052-201-2471