平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
これまで「接着」による加工をご紹介してきましたが、今回は少し異なる「粘着加工品」に焦点を当てます。
言葉が似ており混在することも多い粘着ですが実はこの人手不足と言われるご時世にマッチした工法ともいえる加工です。
今回のコラムでは導入事例を交え、「省時間」「省スペース」「省コスト」にスポットを当て粘着加工品の魅力をご紹介します。
粘着加工品とは
粘着加工品とは不織布をはじめとした繊維物や発泡体、樹脂シートなどの片面及び両面に粘着剤を塗布しテープ化した製品のことを指します。
皆さんの身近な製品で言うとクラフトテープや付箋が粘着加工品にあたります。
これらは粘着剤が塗布されており、必要な長さにカットして段ボールの封をしたり、壁に貼り付けたりすることができます。
同様に不織布や発泡体なども粘着剤を塗布することで簡単に貼りつけることが出来るようになります。
自動車業界では多くの粘着加工品が使われていますので自動車業界の事例を中心にご紹介します。
導入事例
①異音対策
自動車のカーペット下の部品には発泡体が一部使用されています。発泡体が板金などの他素材と擦れるとキュキュッといった音が鳴ります。自動車業界ではこの音を異音を呼び、異音が鳴ると車内に響き快適な空間を阻害することに繋がります。
この様なことを防ぐために不織布に粘着加工を施し発泡体に貼ることで擦れても異音がしない工夫をしています。
②表皮貼り
皆さんが荷物を乗せるトランクルーム部品の表皮も粘着加工品で貼られることがあります。トランクルームの表皮は不織布を用いられることが多くありますが不織布に粘着剤を塗布し、必要な形状に打ち抜かれてから基材に巻かれます。
接着剤での貼り合わせと比較した場合、端末がずれた際の糊残りも少なく綺麗な仕上がりになります。
③吸音製品
弊社で最も多い粘着加工品は吸音製品への粘着加工です。
自動車にはドアやカーペットの下に多くの吸音材が貼られており、先述の異音対策同様にそれらの吸音材によって快適な車内空間を実現しています。
特にリサイクルフェルト(雑フェルト)への粘着加工が自動車業界で多くの実績があります。
④建築材料
建材と呼ばれる建築材料も粘着加工を施し作業現場での作業性をアップさせています。
弊社ではフローリング下に敷かれる吸音材(断熱材)への粘着加工が採用された実績があります。
粘着加工品を利用することで現場で接着剤を塗布する必要がなく、作業者の負担を軽減しています。
その他、皆さんがホームセンターで購入できるような吸音のDIY製品を手掛けることもあります。
我がグループは自動車内装グループとして活動していますが建材関係の案件もあり、他業界においても粘着加工をご提案しています。
物を貼り合わせたい事案がありましたら業界関係なくご提案します。
導入メリット
上記では導入事例をご紹介しましたが粘着加工品にはいくつかの導入メリットがあります。
本コラムでは大きく3つのメリットをご紹介します。
・作業時間の短縮
多くの自動車部品は、溶剤系接着剤やホットメルトを使って貼り合わせる為、各ユーザー様が塗布作業を行わなければなりません。そのためには塗布設備の準備や塗布及び接着の工程を踏む必要があり、現場負担が多いと感じる方もいらっしゃいますと思います。しかし、粘着加工品であれば弊社協力先の工場であらかじめ基材に粘着剤を塗布したものを納入するため、ユーザー様は離型紙(剥離紙)を剥がすだけで簡単に貼り合わせが可能です。
離型紙を剥がす工程は必要となりますが、自社で接着剤を基材全体へ塗布するのに必要な時間と比較すると大きく短縮ができます。
より短時間で多くの生産が可能となりますので担当人数を減らすことや別の作業へ人をまわすこともできるかもしれません。
・作業空間の削減
先述したように多くの部品は接着剤を用いて貼り合わせを行っているため塗布設備を設置する場所が必要となります。
水系接着剤は圧送タンク及び乾燥炉が必要となり、溶剤系接着剤に関しては圧送タンク、乾燥炉に加え局所排気装置及びの設置が義務となります。また、ホットメルトであればアプリケーターシステムが必要となりますので少なからず作業台数台分のスペースを確保しなければなりません。しかし、粘着加工品は粘着剤を塗布する必要がありませんので貼り合わせる基材が置けるスペースさえ確保すれば問題ありません。
今以上に仕事を引き受けたいがスペースがなくて引き受けできないという場面を解消してくれるかもしれません。
・必要コストの削減
粘着加工品は各種接着剤と比較されることが多く特に溶剤系接着剤との比較が場面として多くあります。
溶剤系接着剤は単価が400~600円/㎏と安価なため粘着加工品単体(250~350円/㎡ ※55~60g/㎡塗布時)で計算するとコストが上がる認識を持たれます。実際、粘着加工品は200円後半~300円台/㎡のものが多くコストが上がるともいえますが設備導入費の削減、作業時間の短縮による人件費の削減を含めたトータルコストでみるとコストダウンにつながる場合があります。また、溶剤系接着剤を使用する場合は作業者の健康診断を半年に一回設けることが義務となっていますのでその点もユーザー様にとっては負担となりますが粘着加工品使用時の義務はありません。
製品対応範囲
参考までに弊社協力先での粘着加工の対応範囲は以下となります。
粘着幅 :550~1070mm
厚 み:約0.5~65mm(不織布等の薄物可)
長 さ:限りはありませんが1巻20㎏までであればロールも対応可
粘着剤 :アクリル系
基材荷姿:ロール、カット品共に可
粘着加工と合わせトムソン型での型抜きや単板への裁断、ハーフカット(※1)、背割り加工(※2)、剥がしやすいように剥がししろの設定が可能です。
作業効率を上げることができる加工も多くありますので条件にあった加工をご提案します。
※1:離型紙はカットせずに製品のみをカットする加工法です。
1つのシートに複数の製品をつけることが可能となるので因数管理がしやすく製品が剥がしやすくなります。
※2:ハーフカットと反対に製品はカットせずに離型紙のみをカットする加工法です。
主に大きい製品を作成するときに用いられ、製品の中心から剥がせるようにすることが可能になります。
まとめ
昨今、お取引先様より人手不足や省人化したいといった人に関するお悩みをお聞きします。
賃上げの影響で派遣社員や実習生の確保が難しくなりこの悩みに繋がっていると考えられ、一見相反するお悩みですが粘着加工はどちらのお声に対しても効果的なアイテムと言えます。
接着剤で貼り合わせている製品からの見直しや新規で検討している案件がありましたら一度詳細をお聞かせください。
ユーザー様の条件に合うご提案をさせて頂きます。
お問い合わせいただく際は弊社HP「お問い合わせフォーム」または下記連絡先までご連絡お待ちしております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お問い合わせ先:営業第1グループ 担当:香田
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